仲間たち」カテゴリーアーカイブ

土器を作っていくということ その3

3回目は下の土器です。この土器は底がなく、おそらく、蒸し器形土器の上部だけが残ったのではないかと思われますが、きれいな作りで魅力的な土器です。何回かお借りして、たくさんの仲間が作ったことのある土器です。

尖峰状突起付土器(井戸尻Ⅲ式) 井戸尻遺跡3号住居址出土

井戸尻3号住居址から出土した、井戸尻Ⅲ式土器の標式資料とされている土器セット20点のうちの一点である。四方は三角に尖り、真上から見ると方形をなす。ただし、その一対は欠損している。口縁部は内湾し、方の中に円が存在する。蛇頭と双環がつけられ、その下に太い一本の隆帯が下がり、この隆帯には棒状工具を押し当てて刻みがつけられている。地文は半截竹管でつけられた条線で、口縁部と双環には太いうどん状の粘土紐が貼られている。

作り始めの頃です。3人のお仲間が作っています。

半載竹管(竹を縦半分ほどに割ったもの)で、壁面の筋を入れ、説明文にあるように、縁には粘土紐を列に貼り付けます。

完成間近です。小松館長のお話にもあったように、中もきれいに整えます。手に持っている布のようなものはセーム革で、水を含ませたこの革で撫でて仕上げをします。

完成しました。シンプルな模様ですが、とても丁寧に施されています。先ほど書きましたようにこの土器は下部が見つかっていませんが、この作者は下部をどのように作ったか、知りたいものだと思います。

おまけ:小学生の大胆

完成らしい。ウルトラマンと記念撮影

土器を作っていくということ その2

今回は、考古館からお借りした土器の2点目、3人が作っていた菱形蛙文揚底鉢です。

菱形蛙文揚底鉢(井戸尻Ⅲ式) 井戸尻遺跡3号住居址出土

井戸尻3号住居址から出土した、井戸尻Ⅲ式土器の標式資料とされている土器セット20点のうちの一点である。コロンとした鉢に揚げ底がつけられている。鉢または甕に揚げ底をつけるのはこの時期の土器の特徴。内湾する素文の口縁の下の口径部胴部は、うどんほどの太さの土紐を貼り付けて波線や紐を結んだような文様を描き出し、その後地文に条線をつけている。残念ながら半分ほどが失われている。

この土器の底部分は上げ底なので、粘土紐で輪っかを作ってから始めます。球体に広がっていく部分まできたら、お皿を乗せて底とし、そこから球体状に粘土を積み上げ、縁の部分でくびれを作り、さらに縁部を積み上げて、このかわいらしい形の完成です。

模様を入れていく時に、まず、線を描いていきます。この土器は細い粘土紐で描く模様と沈線とで描かれています。浮き上がった部分と、沈んだ部分で飾られ、縄文は施されていません。

粘土紐で隆線を、竹べらで沈線を描いていきます。粘土紐を張り付けるときは、とれてしまわないように気を付けなくてはなりません。”どべ”と言って、粘土を水でゆるく溶いたものを土器本体と紐につけ、接着剤として貼り付けます。

完成しました。

追伸:19日に恒例のハスのかたく取りをしました。胴長を履いてはす田に入る役、それを受け取る役、整理する役とみんなで分担して、2時間ほどで終了しました。今年は例年になく暑い日で、手早く終ることができて良かったです。

ハスの葉もまだ青々し、咲いている蓮の花もあり、花びらの散った花托もたくさん顔を出していましたから、さぞかし、花の季節はきれいだったでしょう。

土器を作っていくということ その1

ブログ担当者のあれやこれやで、6月以来3か月ぶりの更新になってしまいました。9月の半ばにもなれば、お仲間の中には、2点目3点目に着手している方もいます。そこでお仲間の制作過程を振り返って見たいと思います。

初めに紹介するのは、今年考古館からお借りした土器の一つです。

素文内湾口縁深鉢(井戸尻Ⅰ式) 井戸尻遺跡4号住居址出土

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素文で内湾する口縁には、尖峰状の突起が一つつけられている。尖峰状の突起には環形や三叉文がしるされ、円い穴は深くくぼんでいる。口縁の下には傘状の凸帯がめぐり、そこから凸線が、あるものは垂れ下がるように、あるものは「し」の字を描くようにつけられている。胴部の地文は半截竹管による条線や縄文がつけられている。器形・文様ともにこの時期に特徴的な煮炊き用の土器。

土器の説明は、井戸尻考古館学芸員の平澤さんにお願いしました。それでは、この土器の制作をしたお仲間の足跡をたどってみましょう。

左IMさんは3回目、右TKさんは1回目です。この土器の形の特徴は下部のくびれ方、二人ともピッとよくできています。(6/13)

THさんも上まで積みあがりました。IMさんは一歩進んで模様を入れ始めています(6/19,20)

模様を入れ始めると”目の色が変わる”?一つ一つの模様を追っていくのは時間がかかります。でも、楽しいものです。6月終わりころから7月いっぱいかかっていたでしょうか?

7月25日に完成した「素文内湾口縁深鉢」高さも、40cm以上あるので大作です。お疲れ様😁

エピローグからプロローグへ

作品の集大成である野焼きを終えて終了したかに見えた今年の活動でしたが、来年に向けての序章「粘土作り」を忘れてはなりません。今年は13人の会員以外に、賛助会員の方たちも多く作品作りに励んだので、100kg以上の粘土を使い、在庫0状態になりました。頑張って粘土を作らねばと、先週今週、火水の4日間、皆で精を出してやりましたよ、粘土作り。

前回のブログでもお伝えしましたが、石取り作業です。石があると機会に挟まり停止してしまうため、細心の注意で石を除去すべく、土をおせんべい状態にしていきます。

ここでは、土・砂・少量の陶土を軽く混ぜ合わせています。砂は土に対して2割ほど陶土はほんの少しちぎった感じで入れています。

混ぜた土を機械に投入です。土の様子、機械の動き具合を見ながら、水も足していきます。

粘土が出てきましたよ。粘り気がしっかりついた粘土のようですね。

水分の蒸発を考えて、1kg強づつ袋詰めしました。並んだ並んだ、何と160kgの粘土が完成しました。ゆとりろ地下の室で静かに眠り、熟成して、来年の幕開けを飾ってもらいましょう。おやすみなさい。

おまけ:収穫祭に出店しました。創作土器やドライなはすの花托、花炭など販売しましたが、待っていましたと言ってくださる方もいて、大変うれしかったです。

2022年10月12日 野焼き

前日の11日は、こんな夕焼けが西の空に見えていて、明日の天気は大丈夫と確信しました。

当日12日の朝は、こんな朝焼けでした。朝焼けは雨になる??とちょっと心配でしたが、寒くなく、暑くなく、絶好の野焼き日和になりました。いつもの手順に沿って、まずは焚火をして燠を作ります。

その間、さらなる乾燥と温めのために、土器を周囲に並べます。

燠を広げて土器を並べて行きます

しばらくいぶして、頭のてっぺんまで黒く煤けさせます。

これくらい黒く色変わりしたら、いよいよ、本格的に炎の中に包み、焼きます。

焼きあがりました

それと並行して、別のミッションも遂行中。「古代米と汁ものの縄文調理」です。縄文土器は原則、調理器具であり器でありと生活道具だったのです。お皿とお椀は竹で作りました。

そんなこんなで、今年の野焼きも、事故もなく(人の事故ですが)無事終わりました。感謝です。

追伸:今年は甲斐駒が雲に隠れて姿を現してくれませんでした。だから‥‥‥

サングラス、帽子、覆面、皮手袋、これは野焼きの定番衣装です。

来年の干支 うさぎ流行り

今年も、なんだかんだと10月に入り、ほのおの会の制作活動も来週の野焼きを残すのみになりました。大きな作品作りが一段落したお仲間も多く、小物づくりや粘土作りの準備などをしています。お仲間の作った、「うさぎ」の数々。癒されてください。

「どんなお化粧をしてくれるの?」   「結構気に入ったよ、ありがとう」

「あなた、まだお化粧してもらってないの?素敵に色を塗ってもらってね」

「おなかがくすぐったい!」       「お耳がいい気持ち!」

うさぎの声が聞こえてくるようなかわいい作品たちです。

追伸:こちらは粘土作りの準備中。粘土質の土をおせんべいのように薄くして石を取り除く作業、もくもくとやってます。

さあ、12日の野焼きを楽しみに、良いお天気になあれ!

はすのかたく取り

ご無沙汰しているうちに、ここ富士見ではすっかり秋も深まってきました。散歩をしていると、木々の葉は少しずつ色づき、ヤマグリがたくさん落ちています。とげに囲まれた栗の実は、林の中の動物が割って食べているようで、きれいにイガを割って実を出しているようです。痛くないのかな?

そんな秋の一日、昨日ははすのかたく取りを行いました。秋晴れの気持ちの良い日でした。

はすのかたくとは、にょきにょきと葉の間に出ているものです。

それを‥‥‥

はす田の中に胴長靴を履いて入り、取ってきました(結構過酷!足が抜けないとか、ころんじゃうとか)

何に使うのか?お楽しみに。穴の中から顔を出しているもの、それこそがはすの実です。まだ青く、柔らかいうちは食べられますが、この季節だと固くなっているものが多いですね。

はすの茎にはかたくにあいた穴の数だけ穴が開いていて、それは、地下の蓮根にまでつながっています。蓮根の穴はそこから始まっているのですね。葉にも穴が開いています。葉の中心部に穴をあけて茎をストロー代わりにお酒を飲む、像鼻杯と言われ、ハスの香りがうつったお酒が絶品です。葉は乾燥して近年、人気のはすの葉茶もできます。また、茎から出る微かな繊維で糸を作っている方もいるようです。はすは、お釈迦様の台座を仰せつかっている植物だけに、利用価値の高い高貴な植物なのですね。

お仲間と一緒に和気あいあいと久しぶりの野外活動をして、高校生(?)の修学旅行のように記念撮影をして、楽しい時間でした。

追伸:こんなサイトを見つけました。はすのことが詳しく出てます。

「ハスの花の中ってどんな感じ? 不思議な花托や雄しべや雌しべ」https://pino330.com/archives/6764

現在 過去 未来

富士見町の友好都市である多摩市で、7月15日から29日まで、市役所ロビーにおいて富士見町及び、井戸尻遺跡群のPR展示が行われました。

地元の方の作った復元土器を展示したいという、多摩市の要望を受けて、考古館からほのおの会にお話があり、水煙渦巻き文土器と始祖女神像をお貸しすることになりました。

ここに展示されたものは、二人のお仲間が作ったものですが、水煙渦巻き文土器を作られた方は他界されていて、ご主人からお預かりしてあった土器の中の1点を今回、お貸ししました。5000年ほど前にこの地に住んでいた縄文時代の人の作品が、現代の方に、その方は亡くなられていても、受け継がれていると言ことです。

この方の活動の記録、この水煙渦巻き文土器を作っている姿がほのおの会の画像に残っていました。

この年は水煙紋土器が大流行で、この机だけでも、制作中のものが4点ほど並んでいます。2009年の記録です。この方の作品が市役所のロビーを訪れた方々の目に触れて、縄文に想いを馳せることの一助になったとすれば、この方の思いはつながっているのでしょうね。

そして、未来へ、この子たちが大人になるまで、この井戸尻の風景が平和な時を刻んでいくことを切に願います。

コロナ禍の中で

一昨年は、コロナ禍の中、活動を休止しました。昨年は、ソーシャルディスタンスに配慮しつつ、時短で活動し、野焼きにこぎつけました。今年もコロナ感染拡大に配慮しつつ活動しています。そんな全体の様子をご覧ください。

粘土を積み上げていく時、模様を入れていく時、皆、寡黙になります。”もくもく”と仕上げていきます。作品との格闘は楽しい時間です、おしゃべりがなくても。

追伸:「おかお お顔 Okao」の続きです

上は遮光器土偶の”お顔”、下は埴輪の女の子が”かくまき”をかぶっている風情の”お顔”です。つぶらな瞳、被り物、何ともGoodなマッチングですね。このように作品に濡れタオルをかけるのは、前にもお話ししましたが、乾燥を防ぐためです。

久しぶりに観蓮会が開かれました。

観光協会主催の観蓮会が開催されたのは2019年以来と言うことになります。

大賀蓮は、井戸尻史跡公園の池に咲くハスの中では、最初に見ごろを迎えます。しかし、朝の早い時間にしか見事な開花は見られません。朝7時、たくさんの来園者の方が魅せられていたようです。

その観蓮会に協賛して、井戸尻応援団の軽トラ市も開かれました。地元の方たちの手作りグッズや、ほのおの会の仲間が作った土器も並べられています。新鮮野菜も売られているのです。

井戸尻を応援する地元の方たちの手作り品、どれもかわいいです。

追伸:癒しのハナちゃん