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今年の制作活動の集大成 文化祭発表

毎年恒例の富士見町文化祭が11月2日から4日まで開催され、ほのおの会のブースではお仲間の力作が展示されました。ご覧ください。

色々な作品が並びました。土器、土偶の複製・埴輪・オリジナル土器・縄文アクセサリーetc 6月から、ゆとりろで作ったり、自分の家でこっそり(?)作ったりして、先日の野焼きで焼き上げたものです。多少、すすが残って黒くなっていてもそれはそれ、愛嬌のあるものになってます。お仲間の”愛すべき”作品たちです。

追伸:文化祭の出品の中にはないのですが、こんな作品を作っているお仲間もいます。

このお地蔵さま、かわいいですよね。

埴輪などで顔の表現をするときに、作った人や近い人(例えば夫とか妻とか)の顔に似てくるものだなといつも感じます。このお地蔵さまはとてもかわいらしい穏やかな顔をしていますが、確かに、お仲間に似ています。

この文化祭で、一応、2024年の制作活動は終了で、お世話になった”ゆとりろ”のお掃除を残すのみです。土と砂を混ぜた粘土も作りました。来年度の活動まで、ゆとりろの地下の室の中で静かに熟成してくれるのを待ちます。今年も楽しく活動ができたこと、とてもうれしく思います。ほのおの会の活動は、先生やお仲間だけでなく、井戸尻考古館や町に支えられていると感じ、特にこの時期にはありがたさがこみ上げてきます。感謝です。

さかのぼって制作活動 №2

今回はこの土器、井戸尻で一番有名な土器、曽利遺跡出土の「水煙渦巻き文深鉢」見る者も、作る者も魅了する土器です。もちろん、気合が入らないとできませんが‥‥。今年はレプリカをお借りして2人のお仲間が作っていました。

胴体部分は、上の広がりに気をとられて広がっていくように思ってしまうのですが、ほぼ、寸胴に立ち上げていきます。左右に付く大型の把手は大小に差があり、中は空洞。この帽子のような、耳のようなものの上に渦巻き文を付けていくのです。

左では、ざっと、模様が入りました。右上の画像のようにつけた把手には、さらに、粘土紐で盛り上げ、周囲には鼻のような突起、把手の下にも2段階の模様というように重量が増していきます。そこで問われるのが胴体部分と、左右の把手とのバランスです。把手が壊れ落ちてしまったり、胴体自体が崩れてしまったりと心配の種は尽きません。それに、これから模様をいかにきれいにしていくかという課題もあります。

完成と思っても、色々目について直したくなります。「縁はもっときれいにしなきゃ」「竹管の線、曲がってる」などなど。気になったら切りがない、仕上げの作業です。

この水煙文深鉢は人気があって、毎年、誰かが作ったり、作ろうかなと思ったりする(挫折あり)土器です。上の画像は2009年のものです。亡くなられた方もいるのですが、たいへん懐かしい画像です。この年は何と、5人のお仲間が水煙文深鉢を作っていて、立派に焼き上げていました。鳳凰三山、甲斐駒をバックにしたこの風景、変わらず美しいです。

さかのぼって制作活動 NO,1

前回は、いきなり、終着駅みたいな野焼き風景を見ていただいたのですが、これから、焼かれた土器の制作過程をさかのぼって見ていただくことにします。

これは、曽利遺跡で出土した「蛇文蒸器形深鉢」と呼ばれているものです。この土器は、粘土紐や半さい竹管で施文された繊細な模様が口縁部についていて、私は「手芸土器」と呼びたいと思っています。

左から順次、上へと形作って行きます(当たり前)底部分の丸み、そのあと、ウエストの様にくびれて、上で広がる。輪積みで立ち上げていく時に、絶妙なタイミングが必要です。

左は粘土紐を捩じって絡めています。這い上がる蛇や縁の模様に使われています。男性の大きな手ですが、繊細な仕事です。完成した土器を見ると、そこここに、努力が垣間見られますね。

結論から 失礼します😁

それでは、時系列で野焼きの進行をご覧ください。

焚火の周りにさらなる乾燥を促すために土器類を並べ、燠を作り広げて、その上に土器類を並べます。けむりで燻し、一番上まで黒く煤けさせる工程です。

土器たちはいよいよ火の中に入ります。顔を出すまで、もう近寄れなくなるくらいのほのおの中に包まれます。800℃くらいになっています。

焼きあがった土器たちです。これを見ると、色々な作品があるものです。土器、土偶、創作土器。お仲間が精魂込めて作ったものたちです。これから、時間をさかのぼって、土器作りの過程やエピソードなどをこのブログで紹介できたらいいなと思ってます。乞う、ご期待👍

最後は、みんな笑顔で記念撮影です。今年も素晴らしい、秋の1日を過ごせました。感謝🤣

2024 制作活動開始

にぎやかに始まった今年度初日のゆとりろ風景です

曽利遺跡29号址出土の台付き深鉢
九兵衛尾根遺跡33号址出土の深鉢
曽利遺跡66号址出土の深鉢
曽利遺跡4号址出土の水煙渦巻文深鉢(レプリカ)
曽利遺跡4号址渦巻文深鉢
曽利遺跡48号址蛇文深鉢

今年度は今のところ、上の4点を考古館からお借りしています。下2点は撮影した画像のプリントで作ったり、仲間が以前作ったものを見て作ったりしています。できれば、お借りして、本物を見ながら作るのが一番ですが、重要文化財である土器をお借りできませんし、また、他施設に貸し出す予定があったりすると無理なので、その時は土器四方八方を撮影させてもらって、プリントしたり、以前、仲間が作ったものを持ってきて参考にしたりします。プリントだけで作っていくのは、平面を立体にしていくので、難しいものです。

お地蔵さん
オリジナルな土器

オリジナル作品に挑戦しているお二人です。どんなものが完成するか楽しみです。

今年度、お仲間は何を作るのかな?何を作ろうかな?と、思いを馳せながら活動初めの2週間が終わりました。今年も楽しみです。

2024活動開始 今年もよろしく😁

緑の濃さが日に日に増す2024年5月14日、今年度ほのおの会の活動が例年のように、井戸尻考古館見学から始まりました。

考古館学芸員の副島氏から、主に土器について、時代を追いながらの変遷や地域性、土器を通じた交流などについてお話を聞きました。また、今年はどれを作りたい、どれを貸していただきたいなど考えながらの見学で2時間近くがあっという間に過ぎて行きました。何度見ても井戸尻の土器は素晴らしく見ごたえのあるものです。

その後は、こんな景色の駐車場に何気なく山積みされている土の山が、私たちの胎土を作るもとになる粘土質の土であるということを見て、触って(*_*)でした。

午後のゆとりろでは、先生に胎土の話や制作時の基礎となる輪積みのお話を聞きました。久しぶりのゆとりろです。

輪積みは胎土をひも状にし積み上げていきますが、大型の土器や埴輪などを作るときは、太く作った胎土の紐を、手でたたいて板状にし積み上げます。接触部分はへらで上に押し上げながら、溝を作っていき、さらにそこに粘土紐を埋め込んで強固にしていくという技法を教えていただきました。

これは、”つぶし”という技法をやっています。土器が、指で押して、ちょっと抵抗があるけどまだ、押せるくらいの乾燥具合の時に右画像下にあるツルツルの石でこすります。土器壁は押されてつぶされていきます。土器は基本鍋釜の用途ですが、どの土器を見ても中はこのような技法を使って、たいへん滑らかに作られています。これは土器の内面に施される技法ですが、表面に磨きをかけ、光らせるような場合は、もう少し乾燥させた状態で、石などでこすります。ピカピカした感じになるこれが”みがき”という技法です。画像奥の方に2点土器がありますが、黒い色は漆を塗っているからです。縄文時代から漆は使われ、井戸尻近辺でも漆を塗った土器が出土しています。アスファルトも使われていたと言われていますし、縄文時代を生きていた人の知恵に感嘆するばかりです。

今年も、ほのおの会の活動に参加してくださる皆さんがどのように土と向き合い、どのような作品を作り上げていくのか、とても楽しみです。もちろん、私も含めてですが。

発表の場―富士見町文化祭 2023

富士見町文化祭が開催され、ほのおの会も今年制作した、土器、埴輪、オリジナル土器などを展示発表しました。展示は3日から5日までコミュニティープラザ2Fで、5日は芸能音楽祭がグリーンカルチャーセンタで開催されます。ほのおの会の中には、その芸能祭に出場する仲間もいます。どのサークルも1年の成果を、胸を張って発表しています。

ほのおの会の展示風景です。

作品が一堂に並ぶと、仲間がそれぞれ、色々なものを作ったのだなと、あらためて感じます。土器をまねた作品だとしても、そこには個性が感じられるーそんなことも実感する展示です。「一つ一つ、1年1年区切りをつけつつ次へ向かう」来年も頑張ろう。

野焼きに向けてのラストスパート

今年の制作活動は昨日で一応、一段落しました。今まで紹介してきた土器の他にもたくさんの土器が出来上がりました。ぎりぎり、昨日出来上がり、これから家で模様をきれいにしたり、乾燥を進ませたりしてと最終調整に入る土器もあります。これまで紹介してきた土器以外で、どのような作品があるかご紹介します。

雑感:今年はとても暑い夏で(去年も言ってたかな?)体調を壊した仲間も何人かいましたが、それにも負けず、先日は薪の調達、運搬、積み下ろし作業を多くの仲間ででき、何とか来週の野焼きにこぎつけることができました。10日の野焼き、怪我のないように気をつけねば。「足と心をふらつかせず、地に足をしっかりつけて火に向き合います”」私の決意でした。いつも、力を抜いた全力投球を心がけている”ヅク”がない私です。

土器を作っていくということ その5

今までご紹介したように、井戸尻考古館のものや、日本全国の博物館にある縄文土器をまねて作ることが多いのですが、オリジナルなものを作ることもあります。今回は全くのオリジナルな作品です。しかも、結構、大型な土器。エネルギーに満ち溢れています。ご覧ください。

つぼ型に立ち上げて下には半載竹管の模様が入っています。角も大小二本。どんなふうになっていくのでしょう??

完成したオリジナルな土器。MMさんはこの土器の前に井戸尻考古館の水煙土器を作っていました。渦巻き模様は同じようですが、流れのある模様がついてます。「水流土器」とでも名前を付けたい土器ですね。

おまけ:来年の干支は”龍”

上の作品はSUさんの龍の小物入れ。M先生に手ほどきを受け、ちょっとお化粧してかわいい小物入れの出来上がり。左の龍は、後ろ姿が憂いに富んだ佇まいの癒し系な龍くんです。

土器を作っていくということ その4

今回は井戸尻考古館収蔵の土器ではなく、現在、名古屋市立博物館に展示してある土偶付き深鉢です。「深鉢のふちこさん」ですね。

縄文土器の口縁部に、全身像の土偶が付けられるものである。本資料のような土偶を付けるものは時期と分布範囲が限られ、数は多くないが、縄文前期から 中期の長野・山梨・東京といった中部山岳から関東に集中している。用途はあきらかでないが、祭祀にともなう神人共食の器とみなす説もある。縄文人の精神世界を窺わせる資料である。土偶付深鉢 文化遺産オンライン (nii.ac.jp)

縁の飾りに下の左側のように顔面がついているもの(岡谷市小尾口海戸遺跡)は多いのですが、身体まで表しているのはこの深鉢と、下右(相模原市大日野原遺跡)くらいでしょうか?

それでは、制作過程を見て行きましょう。

完成しましたね。画像では見にくいかも知れないのですが、器面には全面に縄文が施されています。お顔といい、おしりといい、とってもかわいい愛すべき土偶ちゃんです。

おまけ:物入れのふちこさんが言ってます。     「ちょっと何か入れてみて!私がしっかり見張ってるから」