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今年度、初めにお借りする土器3点です

今年度はとりあえず、小ぶりな土器3点を井戸尻考古館からお借りし、解説文を書いていただきました。

香炉型土器 曽利Ⅰ式 曽利遺跡出土

表面に三角刻交叉文があしらわれ、頭頂部に釣手孔を有する小型の香炉型土器。左右に1つずつの孔を有し、この穴を抱くようにして三叉文が施されている。表面下部には、中心に一本の隆帯が走り、施された刻みによって引き締まった印象が備わっている、均整の取れた端正な仕上がりの土器である。裏面のほどんどが現存しておらず、残念ながら、施文の全容を知ることはできない。

区画文筒形土器 藤内Ⅰ式 九兵衛尾根遺跡

縦帯区画文を地紋とする、口径・胴径・底径に大きな差のない円筒形深鉢である。口唇部から二対の垂下降帯が対峙して器面を二分している。縦帯区画文は藤内Ⅰ式期に最盛期を迎え、藤内Ⅱ式期には急速に衰退して器面全体を覆うようなものがなくなり、続く井戸尻Ⅰ式には終焉を迎えることから、藤内Ⅰ式を特徴づける重要な要素であるといえる。

注口土器 後期加曽利B式期 大花遺跡

縄文時代後期の土瓶型の注ぎ口のついた土器。胴部のほとんどは失われ、注口部・口縁部に付けられた突起・底部がわずかに残るばかりである。底部には、土器制作時に下に敷いた編み組製品の跡と思われる網代圧痕を見ることができる。器壁は、後期の土器作成時に多用される磨きの技法で磨かれていると思われる。

井戸尻考古館には、本当にお世話になってます。感謝です。ほのおの会の先輩たちが「土器をお借りする」と言う道を作ってくれて、今でも私たちのことを信頼して貸してくださり、お忙しい中、私たちの勉強になるように解説もしてくださる。教えていただいたことをまた、このブログに載せていきたいと思います。

昨年は休会だったのですが‥‥

そんな折、11月にはこんなことがありました。

”信州蔦木宿道の駅”の休憩室に井戸尻考古館収蔵土器の複製品を展示してほしいというご依頼があり、会員制作の15点を展示させていただきました。井戸尻考古館収蔵物だけではなく、山梨県鋳物師屋遺跡出土の土器、土偶もあります。ほのおの会のメンバーは、そのご依頼を大変うれしく思い、次の年に続く土器作りの意欲が大いに盛り上がりました。

また、中央本線信濃境駅は井戸尻考古館来館時の下車駅で「5000年前まで 徒歩15分」と言うキャッチコピーのポスターがあるところです。そこにも、複製土器が飾ってあります。

このように、富士見町内のいろいろなところに複製した土器を置くのは、会員の制作意欲の向上と言うことはもちろんですが、日本遺産にも指定されているこの中部高地縄文文化の軌跡に触れることのできる、井戸尻考古館のPRにもなっているようで、その点でも意欲が増します。

お仲間の作ったものや自分で作ったものを客観的に見るのは、とても楽しいことです。

何ができるかな? 答えは‥‥

前々回の「何ができるかな?」の答えです。まず、ラグビーボールのようなものは‥‥

かわいいイノシシの土鈴になりました。ベンガラで赤くお化粧しています。

キノコの形をした球状の物は‥‥

前後に口が開いて‥‥

飾りがついて、香炉形の土器になりました。

面白い作り方をするものですね。この土器をお借りすることはできなかったので考古館の館長が丁寧に何枚も各方面から写真を撮ってくれて、それを見ながら作っていました。本物が目の前にあるのと違って平面の物を頭の中で立体的に変えながら作っていくのはなかなか難しい作業です。とても、よくできていると感心しました。

おまけ

これは何かというと‥‥‥

縄文の耳飾りです。大型のピアスですね。まねて作ってみましたが、縄文時代の人のようにきれいにはできなかった。何個か挑戦してみたいと思っています。

耳飾り豆知識

縄文時代全般を通して装飾品の中でも、耳飾りはたくさん出土していますが、後半期から晩期にかけての北関東では質、数ともに他を圧倒していて、特に群馬県茅野遺跡では調査部分だけで577点もの耳飾りが出土しているそうです。耳たぶに穴をあけて、小さいものからだんだんと大きなものをはめ込んでいったのでしょう。縄文時代を生きていた人のおしゃれ感には脱帽です。

 

今年の土器、まずは3点です

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こんもりした丸い形の胴に両把手と盛り上がりがかわいらしく付いています。模様も繊細に入っていて作者の几帳面さが表れている土器です。

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縁に4本の爬虫類の頭のような突起物が出ています。縁の処理の仕方、線の入れ方、突起物の付け方とどれをとっても美しく整った土器です。底は抜けていて、元は蒸し器型の土器だったと思われます。

IMGP3195

胴部に付いた雲のような突起物が面白いです。大胆な作り方をする作者だったのではないかと想像できます。

今年はとりあえず、この3点をお借りしています。その他に、神像土器、昨年作った土器のリベンジ、飼っている犬の埴輪とそれぞれ思い思いに作り始めています。1年ぶりの粘土の感触を楽しみながら。