月別アーカイブ: 10月 2024

さかのぼって制作活動 №2

今回はこの土器、井戸尻で一番有名な土器、曽利遺跡出土の「水煙渦巻き文深鉢」見る者も、作る者も魅了する土器です。もちろん、気合が入らないとできませんが‥‥。今年はレプリカをお借りして2人のお仲間が作っていました。

胴体部分は、上の広がりに気をとられて広がっていくように思ってしまうのですが、ほぼ、寸胴に立ち上げていきます。左右に付く大型の把手は大小に差があり、中は空洞。この帽子のような、耳のようなものの上に渦巻き文を付けていくのです。

左では、ざっと、模様が入りました。右上の画像のようにつけた把手には、さらに、粘土紐で盛り上げ、周囲には鼻のような突起、把手の下にも2段階の模様というように重量が増していきます。そこで問われるのが胴体部分と、左右の把手とのバランスです。把手が壊れ落ちてしまったり、胴体自体が崩れてしまったりと心配の種は尽きません。それに、これから模様をいかにきれいにしていくかという課題もあります。

完成と思っても、色々目について直したくなります。「縁はもっときれいにしなきゃ」「竹管の線、曲がってる」などなど。気になったら切りがない、仕上げの作業です。

この水煙文深鉢は人気があって、毎年、誰かが作ったり、作ろうかなと思ったりする(挫折あり)土器です。上の画像は2009年のものです。亡くなられた方もいるのですが、たいへん懐かしい画像です。この年は何と、5人のお仲間が水煙文深鉢を作っていて、立派に焼き上げていました。鳳凰三山、甲斐駒をバックにしたこの風景、変わらず美しいです。

さかのぼって制作活動 NO,1

前回は、いきなり、終着駅みたいな野焼き風景を見ていただいたのですが、これから、焼かれた土器の制作過程をさかのぼって見ていただくことにします。

これは、曽利遺跡で出土した「蛇文蒸器形深鉢」と呼ばれているものです。この土器は、粘土紐や半さい竹管で施文された繊細な模様が口縁部についていて、私は「手芸土器」と呼びたいと思っています。

左から順次、上へと形作って行きます(当たり前)底部分の丸み、そのあと、ウエストの様にくびれて、上で広がる。輪積みで立ち上げていく時に、絶妙なタイミングが必要です。

左は粘土紐を捩じって絡めています。這い上がる蛇や縁の模様に使われています。男性の大きな手ですが、繊細な仕事です。完成した土器を見ると、そこここに、努力が垣間見られますね。

結論から 失礼します😁

それでは、時系列で野焼きの進行をご覧ください。

焚火の周りにさらなる乾燥を促すために土器類を並べ、燠を作り広げて、その上に土器類を並べます。けむりで燻し、一番上まで黒く煤けさせる工程です。

土器たちはいよいよ火の中に入ります。顔を出すまで、もう近寄れなくなるくらいのほのおの中に包まれます。800℃くらいになっています。

焼きあがった土器たちです。これを見ると、色々な作品があるものです。土器、土偶、創作土器。お仲間が精魂込めて作ったものたちです。これから、時間をさかのぼって、土器作りの過程やエピソードなどをこのブログで紹介できたらいいなと思ってます。乞う、ご期待👍

最後は、みんな笑顔で記念撮影です。今年も素晴らしい、秋の1日を過ごせました。感謝🤣

2024 制作活動開始

にぎやかに始まった今年度初日のゆとりろ風景です

曽利遺跡29号址出土の台付き深鉢
九兵衛尾根遺跡33号址出土の深鉢
曽利遺跡66号址出土の深鉢
曽利遺跡4号址出土の水煙渦巻文深鉢(レプリカ)
曽利遺跡4号址渦巻文深鉢
曽利遺跡48号址蛇文深鉢

今年度は今のところ、上の4点を考古館からお借りしています。下2点は撮影した画像のプリントで作ったり、仲間が以前作ったものを見て作ったりしています。できれば、お借りして、本物を見ながら作るのが一番ですが、重要文化財である土器をお借りできませんし、また、他施設に貸し出す予定があったりすると無理なので、その時は土器四方八方を撮影させてもらって、プリントしたり、以前、仲間が作ったものを持ってきて参考にしたりします。プリントだけで作っていくのは、平面を立体にしていくので、難しいものです。

お地蔵さん
オリジナルな土器

オリジナル作品に挑戦しているお二人です。どんなものが完成するか楽しみです。

今年度、お仲間は何を作るのかな?何を作ろうかな?と、思いを馳せながら活動初めの2週間が終わりました。今年も楽しみです。